特集 慢性の痛みと睡眠障害の新たな治療〜枕快眠法教えます〜

特集 慢性の痛みと睡眠障害の新たな治療〜枕快眠法教えます〜

山田 朱織

16号整形外科

 今年の医学祭のテーマは「睡眠」ということで、私は整形外科医の立場から痛みと睡眠の関係と、その治療法について話します。 皆さんは快眠していますか? 朝起きた時、心も体もすっきりして前日の疲労から回復していますか? よもや、目が覚めたときから首が痛い、肩がこる、頭痛、寝違え、腰痛、手足のしびれなど、つらい症状に悩まされてはいませんか? また、自分では気づかなくても家族にいびきや無呼吸を指摘されることはありませんか? 

私は人間の睡眠姿勢について研究してきました。そして快眠のためには沢山の条件がありますが、最も重要なことの1つは正しい睡眠姿勢だと考えるようになりました。しかし、睡眠姿勢は日中の姿勢と異なり自分の意志では決められません。体をあずけた寝具によって決定されてしまうのです。逆に言えば、自分の体に適合する寝具選びができれば、正しい睡眠姿勢になり、快眠できると考えます。    

 寝具すなわち、枕、敷布団・ベッド、掛布団、寝間着などの中で私が最も重要だと考えるのは枕です。しかしデパートや寝具店には百花繚乱さまざまな形や素材の枕が並んでいます。問題は何を基準に自分に合った枕を選べばよいかという基準がないことです。私は2003年から「枕の3大条件」を整理し、患者様や一般の方にも指導してきました。詳細は講演で説明します。

当院で開発した枕の調節方法Set-up for Spinal Sleep(SSS)法について説明します。この方法を知ることで、皆さんは自分にあった枕を選んだり作ることができます。当研究所で約3万人の枕の高さと体格について調査した結果、身長が高くなるほど、体重が重くなるほど、枕の高さが高くなる傾向がありました。 

次に、慢性の痛みと睡眠の関係について説明しましょう。慢性的に痛みを感じていると、睡眠障害が高率に発生します。逆に睡眠障害が長期に継続すれば痛みに対する感受性が高まり、より痛みを強く感じるようになります。さらにそこにうつや不安といった要素が加われば、悪循環が加速します。近年、睡眠の量や質の悪化が痛みの重症度と密接に関与していることが明らかになってきました。私の研究では、枕を調節すると2週間の短期から、様々な身体化症状(1.胃腸症状 2.背部痛・腰痛 3.腕・脚・関節痛 4.頭痛 5.胸痛・息切れ 6.めまい 7.疲れ・元気がない 8.睡眠に支障がある)が改善します。  

最後に、睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)に対し、枕の高さ調節を行った研究について解説します。SAS治療として持続陽圧呼吸療法(CPAP)、減量、耳鼻科的手術、マウスピース、ナステントなどがありますが、その1つ体位療法とは無呼吸になり難い横向き寝を推奨する治療です。しかし私は枕を調節すれば上向きでもSASは起こりにくいと考えます。研究では至適枕において上向き時間が伸びても無呼吸は起こりにくいという結果がでました。

 今後、私は福岡大学医学部衛生・公衆衛生学教室吉村力先生と協同研究を行い、SASの患者様に至適枕を使用したときの睡眠の質、呼吸、循環、体動(寝返り)、痛みの改善などを観察する予定です。

 特典:当研究所で計測販売している整形外科枕を、11月3日(土) の講演会にて、来場者の中から抽選で1名様にプレゼントし ます!! (※詳細は表紙裏をご参照ください。)